例えば企業研修の例をあげると、ゼロスタートの方の中国語レッスンの1日目はガイダンス的なお話と声調、そして単母音の練習です。私が6つの単母音をひとつずつ発音して、マネできる音はマネして発音していただくのですが、「e」と「ü」のところで、ほぼ皆さん「なんだ?その音はどこから出してるの?」というような表情をされます。
「e」の発音の作り方はいくつかの説明があります。(YouTubeでも解説しているので、ご覧いただけると嬉しいです。)まず、上半身の力みを取ることから始めて、次に口の形と舌の位置を説明します。これで発音を繰り返しているうちに「発音できている」という実感を持たれて、「一人で練習する時もちゃんと音をつくれそう」という自信を持たれる方もいる一方で、発音の作り方について何か決め手に欠ける、少し不安が残る方もいらっしゃいます。
日ごろ日本語を話している時の癖、英語など第2、第3言語のレベル、音の聞こえ方、そしておそらく性格や好みによって、中国語の音に慣れていく過程がお一人お一人違うようです。「e」の発音については、そのような個人差が比較的顕著です。
本題です。ほとんどの方に納得していただける「e」の説明方法とは、「水なしうがい」です。「口角を少し上げてほほ笑みながら、カラうがいをしてみて」というと、だいたい一発で「e」の音、もしくは「ほぼe」の音が出ます。更に口の開き具合と舌の位置を安定させればきれいな「e」のできあがりです。もちろん、発音がこなれるまで何度も練習が必要ですが。
10年以上、沢山の方たちと中国語の発音練習をしてきて思うのですが、日本の人が中国語の母音をより中国語的に発音しようとするとき、注意深く音をつくった方がよいのは「e」よりも、むしろ「a」です。
私は「e」のことを「リラックス系の母音」と呼んでいます。肩からあご(口腔内)にかけて、どこにも力みや緊張がない状態で発音するとナチュラルな音ができます。この点が他の母音との大きな違いですね。
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