旅行先で習いたての中国語を使い、なんとか会話しようと悪戦苦闘している時に「啊?」と聞き返されたことがあります。
字で書けばただの“啊”ですが「アァン?」と、強烈に語尾が上がって来ることもあれば、一直線に「アッ?」と大音量で言われることも…。もはや砲撃を放たれているとしか思えないほど、びっくり恐怖のどん底でした。
日本では、話しかけた相手に「あぁん?」とアゴを上げ気味に聞き返せば、場合によっては喧嘩開始のファンファーレ‥‥ですよね。
この中国人の返してくる「啊?」に驚いてビクビクして、「怒っているのかしら?」という気分になるのは、私だけではないと思います。
しかし、ある時、気がついたことがあります。“啊“も翻訳しなくてはいけないことに。
”啊“を日本語として聞くから、そんな聞き方しなくても!と言う気分になりますが、翻訳すれば「えっ?なんですか?」と言う普通の日本語。
「あん?あなた、なんて言った?」はかなりの意訳だったようです。
中国の方は怒ってもいないし、失礼に振る舞っているわけでもありませんでした。ちゃんと聞こうとする気持ちがあるから「啊?」なのです。旅行中、出会った人々の中には忙しかったり、面倒くさかったり、当たり前ですが、聞き取れない言葉を話す旅行者に付き合っていられない人の方が多いのです。その人たちは「啊?」ではなく、すぐに「听不懂」と返して会話終了。「啊」と聞き返してくれる間は、まだ話していいのです。会話のGOサイン。何とありがたいことでしょう!
恐怖の「啊?」は、気さくに「えっ?」と聞いているに過ぎず、頑張って話をつなげていくのが正しい会話方法。今度会話の機会があれば、それを頭に叩き込んで、不必要にメンタルをやられないように正しい翻訳を心がけたいものです。
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