とても美味しい中国茶をご馳走になりました。
「これ、”たんそうちゃ”なんですよ」と彼女が言うので、てっきり「たんそう」と言う場所のお茶かと思ったら、全く違いました。
”たんそう”とは中国語で”单丛(単欉)”と書き、たった一本の木から採れた葉のみで作ったお茶だそうです。それだけに、他のお茶とは区別して单丛(単欉)茶と名付けられた特別なものらしいです。
頂いたお茶は『鳳凰单丛(単欉/ほうおうたんそう』と名付けられたウーロン茶でした。
「子供が生まれた時、記念にお庭に植えて、子供の成長と共に大きくなる木の茶葉を楽しむ文化もあるんですよ。お茶の木ってどのくらい大きくなると思います?」
聞かれてもまったく見当もつかない私は、日本の茶畑でお茶を摘んでいる人の図をぼんやり想像してみます。人間の腰くらいかな? 80cm? もう少し低い? もう少し高い?
「実は樹齢を重ねて大きくなった木は何メートルにもなるんです。そういう木の单丛(単欉)茶は、質にもよりますが、とても貴重で取引価格が跳ね上がることがあるんですよ。」
「そんなに大きくなるんですか、相当大きいですよね、では茶葉を摘むのも大変なのでは?」
私が尋ねます。
「そう、中国人がこう言うんです『この单丛(単欉)茶は値段が高すぎる、って言うけれど、時間をかけてあんなに大きな立派な一本の木になったんだよ。近頃じゃ大きすぎて、猿に摘んでもらっているんだから値が高くて当たり前だろう』ってね」
「えっ?猿が摘むんですか? それはすごいことですね! 確かに、高値でも仕方ないです!」
私の驚いた顔を見ながら、もう一杯お茶が注がれます。
「彼女はふんわり微笑んで言いました。中国の人は、話をとっても上手に盛りますね」
二人で大笑いです。
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