中国語の単母音は5つです。
この5つの中に兄弟姉妹の一対の母音があります。「i」と「ü」です。
異なるアルファベットを使ってピンイン表記されるので、まったく違う音かと思いきや、実は非常に似ています。油断すると、どっちがどっちだかわからなくなってしまうような発音です。
音が混同しやすい原因は唇の微妙な幅の違いにあります。
「i」は、唇をしっかり左右に引っ張るとクリアな発音ができます。
「ü」は、唇の幅を少しだけ狭くします。この時に気を付けなければならないのが舌の位置。舌の際が下の歯の裏から離れないようにします。舌が下の歯の裏から離れて、うっすら浮いてしまうと日本語の「う」になりがち。
私は、日本語母語話者にとって簡単な、というか、自然な口の形は「ü」ではないかと思っています。極度にすぼめてもいないし、左右に引っ張ってもいない唇の状態です。ただ、舌の位置が日本語母語話者にとって、少し窮屈なのだと思います。
一方で中国語の「i」は唇を左右に引っ張るので、こちらの方が日本語の「い」とは口の形や口元の緊張感がちがうと思います。「i」はがんばりが必要です。真横に引っ張ります。
ところで、「i」と「ü」は反復運動できます。この両者の発音の違いをうまく出せていないなと思っていらっしゃる方はぜひ、こちらの動画をご覧ください。
https://youtu.be/x67x-rCE3HY
微妙な幅の違いですから、しゃべっているうちに、つい、区別が甘くなります。特に子音がくっついている時は要注意です。
一方で、この両者の違いをくっきり出すことができたら「通じる中国語」にまた一歩、近づきます。
私の教室に発音矯正に来てくださる方は、たいがいこの方法で発音の課題が三分の一、解決します。
この唇の運動が定着すれば、ある程度速く話しても聞き取りやすい、きれいな「ü」になります。
次の音読練習の時、ぜひ、この二つの発音を意識して中国語を読んでみてください。
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